手続

会社を設立したら必要な手続のまとめ

はじめて会社を設立した場合、どのような手続が必要になるのでしょうか。会社設立→従業員の雇用→従業員の増加 それぞれの段階で労働法令で義務付けられた手続があります。まずは会社を設立したところから見てみましょう。

会社を設立して報酬が発生する

会社を設立して役員報酬が発生したら社会保険への加入が必要です。法人の場合、役員1人でも報酬があれば、社会保険への加入が義務付けられています。ただし、代表の役員のほかに、非常勤役員がいて実質的な稼働がない場合はその人の加入義務はありません。

 必要な手続
【会社】社会保険 新規適用届
【役員】社会保険 資格取得届
【役員】社会保険 被扶養者異動届

従業員を雇う

事業が拡大して従業員を雇う際に最初にする手続は、労働保険への加入です。労災保険は正社員、パートにかかわらずすべての従業員に義務付けられているからです。雇用保険は週20時間以上の所定労働時間で加入が必要です。社会保険は週40時間所定の会社で30時間以上が加入の基準になります(従業員数101人以上の会社は、社会保険の適用拡大の対象となっています。従業員数51人以上の会社は令和6年10月以降適用拡大の対象となります)。

雇い入れの際には、「雇用契約書」を渡すことで労働条件を明示する義務があります。36協定も従業員を雇ったら必ず締結して提出した方がよいでしょう。

そのほか下記のような手続きが義務付けられています。

 必要な手続き
【会社】労働保険成立届
【会社】適用事業報告
【会社】雇用保険設置届
【会社】概算保険料申告書・納付
【会社】36協定締結・届出
【従業員】雇用保険 資格取得届
【従業員】社会保険 資格取得届
【従業員】社会保険 被扶養者異動届
【その他】雇用契約書の作成

定期的に発生する手続

従業員の入退社ごとに社会保険と労働保険の資格得喪の手続が発生します。

それとは別に、年に1度労働保険の年度更新と社会保険の算定基礎届(毎年7/10締め切り)の提出が必要です。年度更新は、従業員に支払った賃金をもとに労災保険料と雇用保険料を算出して保険料を納める手続です。算定基礎届は、年に1度の社会保険料の見直し・適正化の作業です。労働局や年金事務所で手続の説明も行っていますが、正確な数字の算出が必要になりますので、専門家である社労士に依頼するとよいでしょう。

 必要な手続き
【会社】労働保険 年度更新
【会社】社会保険 算定基礎届
【会社】一般健康診断の実施
【従業員】入退社手続
【従業員】休職手続

従業員が増えたら・・・

事業の拡大によって従業員が10名以上になった場合は、就業規則の作成が必要となります。その際に、賃金規程と育児休業・介護休業規程も一緒に作成することが一般的です。正社員のほかに、契約社員などがいる場合は、契約社員の就業規則を作成することもあります。

 必要な手続き
【10人以上】就業規則等の作成と届出
【43.5人以上】障害者雇用義務
【50人以上】衛生委員会の設置、産業医の選任、衛生管理者の選任、ストレスチェックの実施、定期健康診断結果報告書の提出……etc

就業規則を作成するには、会社がどのようなルールにしたいかを考える必要が出てきます。勤怠管理の方法(フレックスタイム制や裁量労働制の導入)、賃金の支払い方法(固定残業代を採用するか)、休職に関するルール等です。変形労働制は制度導入にあたって要件がいくつかあり、それを満たさないまま運用してしまうと、無効と判断されることもあります。適切な運用については専門家のアドバイスが必要です。

IPOを目指す企業は

なかでもIPOを目指す企業は、早い段階から法令に沿った適切な対応をしておければ、後になって未払い残業代への対応や労務管理の変更についての従業員への説明、規程の変更に追われるなど、労務管理が原因でIPOの直前でつまずくということもありません。早めに専門家へ相談するのが適切かと思います。制度設計の段階で十分に専門に相談できていないという場合は、早めに労務監査を行ってリスクの洗い出しをすることをおすすめします。

いかがでしたでしょうか。

社会保険・労働保険関係の手続は、顧問社労士に手続きを依頼することにより、スタートアップから50人超までどの段階でも適切なアドバイスを受けられることにより、安心して会社経営を進められるでしょう。

著作者:pch.vector/出典:Freepik

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