手続

労働保険料の納付の仕組みを知ろう(年度更新)

社会保険料は毎月収めているけれど、労災保険料と雇用保険料はいつどのようにして納付すればいいのだろう? そんな疑問をもったことはありませんか? 労働保険料(労災保険料と雇用保険料をひとまとめにして労働保険料と言いいます)は、一年に1度まとめて集計して、都道府県労働局に金額を申告して納付します。これが年度更新と呼ばれるものです。

対象期間は? いつ集計すればよいの?

集計の対象期間は、毎年4月1日から翌年3月31日までです。給与の支給が当月払いなら「4月支給から翌年3月支給まで」、翌月払いなら「5月支給から翌年4月支給まで」の保険料を集計します。該当期間の最後の給与が確定すれば、集計を開始できます。

何を集計すればよいの?

まずは上記期間に労働者(役員分は除きます)に支払った労働の対償として支払うすべての賃金の合計額を算出します。賃金として支払われたものの中でも労働の対償として支払われたものでない項目は除かれます。例えば、慶弔見舞金や実費弁済と考えられる出張旅費、休業補償費、解雇予告手当などがあります。詳しくは下記パンフレットp14で確認してください。

保険料の計算はどうするの?

労働者に支払った賃金総額に保険料率(労災保険料率+雇用保険料率)を乗じて得た額です。次年度の保険料を概算保険料として計算していったん納め、年度の終わりに確定保険料として実際の保険料を計算して差額を算出して不足分は追加納付します。余剰分は次年度の概算保険料に充当することも還付してもらうことも可能です。

保険料率は、事業の種類によって異なります

 雇用保険料率は、「一般の事業」、「農林水産業・清酒製造業」、「建設業」のいずれかによって保険料率が異なります。労災保険料は、最低1000分の2.5から最高1000分の88の範囲で事業の種類ごとに異なります。下記で確認してみましょう。

■雇用保険料率(~令和6年3月31日)

https://www.mhlw.go.jp/content/001050206.pdf

■労災保険率表

https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/roudouhokenpoint/dl/rousaihokenritu_h30.pdf

申告と納付は

会社は上記保険料のうち、従業員負担分(雇用保険料のみ)を給与から控除して預かっていますので、従業員負担分と会社負担分をまとめて、都道府県の労働局へ納付します。申告と納付期限は毎年7月10日です。概算保険料が40万円以上の場合は、3回に分けて納付すること(延納)が可能です。

申請は、e-Govにて電子申請できます。納付は、口座振替を申し込めるほか、ペイジーなどでも簡単に支払いすることができます。納付を怠った場合は延滞金が徴収されます(年率8.7%。ただし初めの2か月は、延滞金軽減法の適用年率で計算)ので気を付けましょう。

年度更新はプロにお任を

これまで読んでいただいていかがだったでしょうか。思ったよりも要件が細かくて手間に感じたかもしれません。期限までに申告納付できたとしても申告金額が間違っていて保険料が不足していた場合は、その部分に延滞金が発生しますので、正しい申告納付が必要です。年度更新のプロである社労士に任せていただいた方がよいかもしれません。

参考資料

■令和5年度 労働保険 年度更新 申告書の書き方

https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/hoken/kakikata/dl/keizoku-all.pdf

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